昔から医療現場では衛生面などを考えたときに、白衣を着用することが当たり前でした。しかしその姿から子どもは勿論、大人でも恐怖心を感じる人もいます。最近では使いやすさや動きやすさなどに配慮したスクラブが人気で、ドラマや映画にもなったコードブルーで出演者が着用していたことも、多くの人が認識するきっかけになったといえます。
医療現場のユニフォーム「スクラブ」、ネイビーカラーが人気なのはなぜか?
医療現場は人の生死に関わる重要な場所です。日夜関係なく医師や看護師など医療に関わる多くの人たちが危険と隣り合わせで命とひたむきに向き合っています。そのような過酷な医療現場において、医療スタッフが身につけるものの代表的ともいえるものに白衣があります。
これは白いものを身につけることで汚れを発見しやすくしたり、飛沫や接触からの汚染を防止するための対策や衛生管理を徹底するためなど、様々な面を考慮した結果ベストなものだと着用されてきました。今でも医療機関といえば白というイメージを抱く人もいますが、一方で白衣を着ている人を見ると緊張してしまう患者もいます。
そのような人の中には普段の生活では正常範囲の血圧でも、病院を受診するとなぜか血圧が高くなってしまう場合があります。その原因として考えられるのが白衣高血圧であり病院という場所に来ていることや医師を見ると緊張感を生みだしてしまうことから、普段とは違う状況下で血圧が変動してしまうと考えられています。
このように白衣には衛生面を保つなど大切な役割があるのと同時に、一部の患者に緊張感を与えてしまうなどの問題点もあります。
しかし医療現場において衛生面を保つことは医療従事者だけを守るのではなく、患者や治療に関わる多くの人たちを守ることにもつながるのです。
一方で白衣のあり方は時代と共に変化を遂げているのも事実です。例えばテレビドラマや映画などのいわゆる医療をテーマにした作品では、最近は白衣だけではなく紺色を始め様々な色のスクラブを着用して治療に取り組んでいる姿を目にすることが多くなりました。
観ている側からすると若手俳優たちを格好よくみせるためでは、とか白衣だと出演している人たちが同じにみえてしまうからではなどと推測する人もいます。元々日本では手術着として使われていたスクラブですが、海外ではいち早く診療科を問わず導入し着用していました。
着用することにより様々なメリットが生みだされているからです。チーム医療、という言葉が示すように一人の患者を治療するには医師や看護師を始め、薬剤師や検査技師など多くの専門分野の人たちが関わります。一方でチームメンバーがお互いを認識していたとしても他者からもその役割がわかるようにすることは至難の業です。
しかしスクラブを色分けして着用することによりあの人は検査技師だ、とかあの人は薬剤師だ、など医療従事者だけではなく患者からも認識されやすいというメリットがあるのです。
スクラブは頑丈な素材で作られていてゴシゴシ洗う、という意味が語源となっています。確かに素材を気にしながら扱うものよりも、何回もゴシゴシ洗えるほうが衛生的であり安心ですよね。また形状は半袖でVネックであることが多いのですが、なかにはジッパーがついていて着脱がしやすいように作られているものもあります。
スクラブはカラーバリエーションも豊富で白や紺色、ピンクや黄緑色などもあり多種多様です。また中には子どもと接する医療従事者に配慮したスクラブもあり、パンダやネコなど動物柄や車や新幹線などが描かれているものもあります。
特に診察や治療などに恐怖を抱きやすい子どもにとって、まず目につくものがこのような身近な柄であれば気持ちの持ちかたも違ってきますよね。
子どもだけではなく大人にとってもイメージは大切であり、先行しやすいものです。テレビドラマや映画など医療を題材とした作品は多くの人が目にしやすく話題にもなりやすいといえます。最近ではコードブルーという医療ドラマが人気となり、シリーズ化し映画化にもなりましたが、作品の内容とともに役者たちが身につけていたスクラブも作品を印象づけるものでした。
コードブルーは子どもから大人まで幅広い世代に注目された作品であり、救急医療を題材としドクターヘリが重要な役割を果たしています。フライトドクターやその研修生、指導医やフライトナースなどが登場し救急現場や災害時の医療など様々な対応を求められるなかで、現場での葛藤や人間関係などをリアルに表現しています。
コードブルーでは従来の白衣を着ている人よりもスクラブを着ている人が多く印象的です。
このような現場においてスクラブが活用されている意味を考えると耐久性は勿論、救急医療において求められる迅速さや激しい動きにも対応出来るからだとわかります。コードブルーをスクラブの存在を広く認知させた作品、と表現する人もいます。
スクラブをよく見ると細部に渡り着用する人が使いやすいような配慮が垣間見えます。例えばポケットがいくつもついていて物の収納性の高さや、出し入れしやすいようになっているなど着てみることでわかる使い勝手の良さが作り手から伝わってくるかのようです。
コードブルーで着用されていたスクラブにはいくつかのオプションがつけられます。胸元や袖口にネームを刺繍することが出来ますが、ロゴマークも可能であったりワッペン上に刺繍をするなど選ぶことも出来ます。また医療用PHSを収納するポケットを加工したり、ラインを入れたりと、その色の種類と選択肢の幅の広さに驚かされます。
一見どれも同じようなものだと思いがちですが、着用する人によりその人の個性やこだわりがスクラブから伝わってくることもあるかもしれません。動きやすさやカラーバリエーションの豊富さ、また柄のあるスクラブなどにはどのような意味があるのか一枚のスクラブから見えること、考えさせられることの多さなどをあらためて気づかされます。
医療現場ではスクラブを着用することによりチーム分けや何を誰が担当しているのかなどわかることがあります。またコードブルーという作品では細部にわたり使いやすさを追求した繊細なつくりを垣間見ることも出来たり、使いやすさや動きやすさなど一枚のスクラブから医療現場の様々なことを考えさせられ、また気づかされます。